たんたんたんとした日々のこと

障害のある子供たちと過ごす日々のことを綴っています。

祈り。

彼は日々の祈りを欠かしません。

そのスタイルは正座をした状態から床に額をつけ、両腕は真っ直ぐ前方へ伸ばし、手のひらも床につけます。

どこかイスラム教の礼拝様式にも似ていますが、実際に彼が何を信仰しているのかはわかりません。

そもそも信仰なのかもわかりませんが…。

「君は何に祈っているの?」と聞いてみたことがあります。

彼は八重歯を見せながら微笑んでくれましたが、答えてはくれませんでした。

愚問だったのでしょう。

そして彼がひとたび祈りのポーズに入ると、何人たりともそれを遮ることはできません。

無理に動かそうとしても岩のように固まってびくともしません。凄まじい集中力。屈強な柔道家でもこの状態の彼を寝技に持ち込むことはできないでしょう。

「おやつの時間だよ。」の声にも、くすぐり、か○ちょうにも動じません。

そして祈りが終わると、立ち上がり歓喜の声をあげながら柏手を打ちつつ、走りながらの高速ターンを決めるのです。

どうやら今日も神との対話は滞りなく済んだようです。

か○ちょうで神聖な儀式を邪魔しようとした自分が恥ずかしくなります。